エッジAI
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エッジAIも、話題になっているテーマだ。
エッジAIとは、エッジコンピュータにAI(人工知能)を組み込む技術で、工場や自動運転車内に置くAIのことだ。
AIコンピュータというと、今まではクラウドに置いて使うものだった。
というのもAIは、膨大なデータを処理して答えを見つけ出すため、物凄いマシンパワーが必要だったのだ。
そんじょそこらのレンタルサーバーの計算力程度では、AIの計算など不可能だ。
そこでクラウド(インターネットの向こう側)上の超ハイスペックコンピュータでAI処理を行い、その結果を端末で受け取るという使い方をする。
ところがこの方法には、致命的な欠点があった。
それが「通信時間」だ。
エッジAIが注目される理由
クラウド上のサーバーでAIを使う場合、手元のローカル端末とクラウド上のサーバーで、データのやりとりを行う。
ローカル端末からクラウド上のAIコンピューターにデータを送り、AIコンピュータで処理をして、結果を返してくる。
そうすると、往復のデータ通信に時間がかかる。
たとえクラウド上のAIコンピュータがいかにハイスペックなマシンで、0.1秒で答えを出したとしても、往復で1秒前後の時間は最低かかる。
通信が混み合っていたり、通信障害が発生したら、さらに時間がかかってしまう。
となると、1秒で状況が一変するような環境では、クラウド上のAIコンピュータは使い物にならない。
たとえば自動運転車が周囲の状況を5G回線でAIコンピュータに送り、それを処理したデータで自動運転車を動かすとすると、1秒前と既に状況が変わっていたりするからね。
刻々と状況が変化する環境下では、クラウドAIは使い物にならない。
ということで、現場で使えるAIが必要と考えられ、エッジAIと呼ばれるAIに関心が出てきたわけだ。
エッジAIとエッジコンピュータ
エッジAIとは、エッジコンピュータに搭載するAIのことだ。
では、エッジコンピュータとはなにか。
エッジコンピュータとは、簡単に言うと「クラウド上のサーバーと通信を行う端末コンピュータ」のことだ。
工場や自動運転車には、たくさんのセンサーがついており、そこからどんどん情報が送られてくる。
機器の温度、機器の振動、電圧・電流、音、色、などなど、機器に組み込まれたセンサーから、大量にデータが生み出される。
その雑多な情報を加工して、データを束ねてクラウドサーバーに送るのが、エッジコンピュータだ。
そしてエッジコンピュータは、クラウドサーバーのAIから結果を受けとって、機器をコントロールする。
工場であれば、AIによって不良品が発生したり、機械が壊れそうだという兆候があれば、該当部分の機械を止める。
自動運転車であれば、AIの判断に従って、速度を調整したり、行き先を変更したりする。
ただ、さっきも書いたとおり、状況が刻々と変化し、ミリ秒単位で対応が必要な状況下では、クラウド上のAIコンピュータと通信している間に、致命的なことになりかねない。
そこで、司令塔でもあるエッジコンピュータにAIを組み込もうというのが、エッジAIというわけだ。
エッジAIには、現場ですぐに判断して行動することが必要なケースに、最低限必要な行動が取れるような仕組みを載せる。
仕組みとしては、クラウドAIでビッグデータを処理して、その中から現場で判断すべき部分だけを切り出して、それをエッジAIが現場で判断して対応するって感じかな。
また、さらにエッジAI用の半導体を進化させて、現場でデータ処理を行って判断を行うといった方向でも、開発が進んでいる。
家庭用の音声認識AIなどは、どんどんエッジAIで処理するようになってきている。
エッジAI 関連銘柄
3652 ディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)
ディープラーニングの推論処理に特化したAIプロセッサー「ZIADV500」の提供を開始
7587 PALTEK
AIスタートアップのハカルス(京都)と提携し、独自AIを実装した半導体チップを開発中で、文庫本サイズのエッジ端末を製品化
8154 加賀電子
AIスタートアップのハカルス(京都)と提携し、生産現場で高速検品作業が出来る「エッジ端末」を開発
6730 アクセル
完全自動運転に向けたシステムオンチップとソフトウエアプラットフォームの研究開発
6723 ルネサスエレクトロニクス
AIベンチャーのクロスコンパス・インテリジェンスと提携。「e-AI」と名付けたエッジ端末用のAIを開発中で、エッジデバイスで異常を感知して対処。
6502 東芝
エッジデバイス上で音声キーワード検出と話者認識を同時に行うAI技術を開発
3914 JIG−SAW
3853 アステリア
エッジコンピューティング拡大へ台湾AI技術最大手と業務提携