ウーバーイーツに見るギグワーク
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ギグワークとは、単発仕事や短期契約の仕事のことだ。
近年、アメリカなどでギグワークが広まり、それがネット決済と相まって発展している。
このGIG(ギグ)という言葉は、音楽のジャズなどの世界で使われていた単発演奏のことだそうだ。
小さなライブハウスで、一回だけ行われるセッションのことをGIGと呼び、ここから単発仕事をギグワークと呼ぶようになったのだという。
ギグワークと言っても、ピンと来ないかも知れない。
ただ、UBER(ウーバー)というサービスのことなら、耳にしたことがあるかも知れない。
UBER(ウーバー)って何?
UBER(ウーバー)は、車を持っている人が暇な時間に、赤の他人を車で運ぶサービスだ。
人を運ぶサービスとしてはタクシーがあるが、タクシーに対する不平不満を解決し、タクシーに変わるサービスとして利用されている。
というのも、タクシーは忙しくなると捕まらないし、時間通りに来てくれるかも怪しい。
そこで、インターネット上で現在地と行きたい場所を挙げて、運んでくれる人を探してくれるのが、ウーバーのサービスだ。
ウーバーには、車と暇な時間を持っているギグワーカーのドライバーが多数登録しており、待機中のドライバーの内から、希望に一番近いドライバーを、ウーバーが選択してくれる。
ウーバーが「配車サービス」と呼ばれるのは、こういう仕組みだからだ。
ウーバーの優れたところは、支払いは、あらかじめネット決済で行われるので現金の授受がなく、利用代金が踏み倒されないところだ。
金銭の授受が直接発生しないため、ギグドライバーは、待ち合わせの場所に行って、乗りたい人をピックアップし、目的地まで運んで下ろしてくれば良い。
お客さんの場所も、車の位置も、GPSで把握されているので、人付き合いが苦手でなければ、楽な小銭稼ぎになる。
ただ日本では、お金をもらって赤の他人を車に乗せて運ぶのは、「白タク」と呼ばれる違法行為だ。
日本の法律では、人間を仕事として運ぶには第二種運転免許が必要で、バスやタクシーが付けている緑色のナンバープレートが必要なのだ。
そのため、ウーバー自体は、日本でまだ本格的なサービスは開始されていない。
ウーバーイーツは、日本のGIGワークの魁?
一方、ウーバーイーツ(UberEATS)は、日本の大都市圏でサービスが開始されている。
ウーバーイーツはウーバーのサービスの一つで、簡単に言うと「出前を頼めるサービス」だ。
昭和の日本の飲食店は、出前サービスは普通によくあるサービスだった。
うどん屋さんや蕎麦屋さん、中華料理店では、電話で注文すると、料理にラップを掛けて、それをオートバイで運んでくるのが普通だった。
ところが近年、街の飲食店やレストランで、テイクアウト(持ち帰り)はあるが、出前をやってない方が普通になった。
と言うのも、出前は季節や天気によってあったり無かったりする。
そのために人員を待機させたりオートバイを何台も維持するのは高コストだ。
そのため出前をやっているのは、配達の比重が高いピザだとか寿司屋さん、そしてガストなどのチェーン店ばかりになった。
そこで、食べたいモノを買って持ってきてもらうサービスが誕生した。
それが「ウーバーイーツ」だ。
ウーバーイーツと、ギグワークの問題点
ウーバーイーツでは、出前はしたいが出前スタッフは準備できない飲食店と、出前を代行してくれる配達パートナー(ギグワーカー)を募集し、それをマッチングさせる。
出前して欲しい人は、Webサイトやスマホアプリから食べたいモノを選び、ウーバーイーツは配達員を確保してから飲食店に注文を入れる。
配達員が飲食店に着く頃には料理ができあがっていて、それを配達パートナーが受け取ってお客さんのところに運ぶ。
こういう仕組みが、ウーバーイーツだ。
ただし問題点がいくつかある。
というのも配達パートナーは、当日に仕事にエントリーするため、天気が悪い日は稼働している配達員の数が減る。
つまり、天気が悪い日には、ウーバーイーツのサービスが頼めないことが増える。
デリバリー専門の飲食店なら、雨が降ろうが槍が降ろうが配達員は待機しているが、ウーバーイーツは当日エントリーなので、その日になってみないと分からない。
また、天気が良くても配達距離が長いと回数をこなせないため、長距離の配達は配達パートナーに拒否されやすい。
そのため飲食店で作った出前が、タイムアウトになって破棄されるケースもあるらしい。
飲食店が雇っている配達員であれば、サービス区域が決まっているので、域内なら近かろうが遠かろうが配達される。
しかしギグワーカーだけに頼っていると、良いとこ取りされてしまうので、金にならない配達は請け負う人がいない。
ウーバーの場合は、もともとバスやタクシーというサービスがあって、それを補完するサービスだから成り立ってるのだ。
なので配達員をスタンバイさせている飲食店が、補完的にギグワーカーを使うのであれば良いのだが、ギグワーカーだけに頼ってしまうと破綻してしまう。
この辺がギグワークの欠点だろうね。