行使価額修正条項付新株予約権は、いつでも新株が出てくる状態
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株価が2倍くらい上がりそうな好材料があっても、株価が上がらないことはよくある。
こういう場合、第三者割当増資の新株予約権を持っている証券会社や投資会社がいて、新株を大量に売りさばいている事が多い。
株価が低迷している銘柄の場合、予約権を発行していても、株価が上がらないため、なかなか権利行使が進まず休眠状態に陥っている事が多い。
しかし好材料で株価が急騰し出すと、突如としてそれが蘇ってくるわけだ。
新株予約権にも色々あるのだが、「行使価額修正条項付」の場合、こういう大量の売り物が出やすいような印象がある。
行使価額修正条項付というのは、新株の買い取り価格を、前日終値で設定している場合が多くて、株価が10%以上に急騰してストップ高になったりすると、途端に権利行使が進んだりする。
たとえば前日終値が一株400円だった場合、ストップ高の株価は480円だが、予約権を持っている証券会社や投資ファンドは一株380円くらいで手に入れることができる。
それをすぐに市場で売れば、100円弱の利ざやが稼げるわけだ。
そのため、いくら好材料が出て急騰している銘柄でも、この大量の新株を買い上げるほどでなければ、株価の上昇はすぐに抑えられてしまう。
新株予約権を大量に抱えている大口の売り手が存在することが分かれば、上値を追って買う投資家は少なくなるからね。
新株予約権があれば、先にカラ売りすることができる
新株予約権は「ストックオプション」とも呼ばれる。
ストックが「株式」、オプションが「選択肢」ってことだ。
新株予約権を持っている人は、新株を買うかどうかを選択できるので、株価が急騰すると、新株予約権を権利行使して儲けようとする人が増える。
業務として投資を行っている証券会社や投資会社なども、株価が2割も上がれば、当然のように新株を手に入れて、株式市場で売りさばいてくる。
つまり「株価上昇」→「新株予約権の権利行使で株を取得(市場外)」→「株式市場で売って利益確定(市場内)」ということだ。
ただし実はこの順番の通りでないこともある。
というのも証券会社が予約権を持っている場合、『株券貸借取引』で、株券をカラ売りすることができるからだ。
株式投資の掲示板などを見ると、たまに「証券会社はまだ予約権の権利行使をして株券を持っていないから、今日は売ってこれないはず」などという書き込みがあったりするが、実は株券を持っていなくても売りさばける。
例えば次の画像は、某大手証券の大量保有報告書の一部を切り取ったものだが、『株券貸借取引』という注が付いている部分がある。
これがつまり、市場で先にカラ売りして、後から予約権の行使して買い埋めしたということだ。
新株予約権の権利行使の例
証券会社が新株予約権を持っている場合、株価が急騰するとこういうふうに先にカラ売りして、後で買い埋めしてくるケースもあるので、油断はならない。
因みに新株予約権のあるなしは行使状況は、企業のホームページや、エディネットで確認できる。