権利付最終日のカラ売りは儲かるか?
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配当金や優待狙いで株価が上がり、権利付最終日の翌日に株価が下がる。
これが確実なのであれば、権利付最終日に株をカラ売りして、権利落ち日に株を買い戻せば、確実に利益が取れることになる。
となると権利付最終日に、大量に株がカラ売りされて、大幅下落になるということも考えられる。
ところが実は、そういうことは滅多に起こらない。
と言うのも実は、権利付最終日にカラ売りした人に対しては、「配当落調整金」(はいとうおち・ちょうせいがく)が徴収されるからだ。
配当落調整金とは、簡単に言うと、配当金を株主に支払えという話だ。
カラ売りというのは、株を借りて来て、それを売っているわけだから、配当金を受け取る権利は、株を貸してくれた株主にある。
ところが株は既に他人に売っているから、配当金を受け取るのは他人になる。
これでは株を貸した人が損をするので、権利付最終日の大引け時点で、カラ売りしている人に配当金分を、負担させるという仕組みだ。
配当落調整金の額は、配当金から税金を差し引いた額になる。
これを特に「配当落調整額」と呼ぶ。
配当金は、正式には株主総会で配当金が決議されたあとに配られる。
だいたい権利落ち日から3ヶ月もあとのことだ。
なので正式な金額はそこで決まるのだが、取りっぱぐれがないように、予め配当金相当額が、証券会社で押さえられる。
要するに、権利落ち分の値下がりを狙ってカラ売りしたとしても、大して儲からないわけだな。
権利付最終日にカラ売りを持ち越し、逆日歩で大損
権利付最終日に近づくにつれ、株価は上がる傾向がある。
そのため貸借銘柄であれば、カラ売りが増えることも多い。
権利落ち日で株価が下がったあと、さらに株価がしばらく下がるなら、配当落ち調整金を支払っても、カラ売りで儲けることができるからだ。
ところが同じ事を考える人も多いから、権利付最終日には、すでにカラ売りが積み上がっていて逆日歩が発生していることも多い。
売り禁の玉は金の玉、なんていうから、売り禁になって逆日歩が付いても、ずっとカラ売りを買い埋めせずに、うっかり持ち続けたりするんだね。
ところが配当落調整金があることをすっかり忘れてたり、逆日歩を甘く見て、権利付最終日にカラ売りを持ち越して、大損してしまうことも多いらしい。
因みに権利付最終日に信用買いを持ち越すと、「配当落調整金」を受け取ることができる。
もともと信用買いでは、配当金は受け取れない。
というのも信用買いというのは、株券を担保にする条件で金を借りていて、買った株券は証券会社や、証券金融会社(日証金)が押さえている。
なので配当金は証券会社や、証券金融会社に入ることになるのだ。
ただしこれでは権利付最終日に、信用買いを持ち越すと、権利落ちで株価が下がって損になってしまう事が多くなる。
となると権利付最終日に近づくにつれ、信用買いが減って出来高が減りかねない。
これでは株式市場が歪んでしまうので、信用買いでも、配当落調整額分を、受け取れることになっている。
ただし、株主優待は受け取れないが。