株主優待目当ての買いはありか?
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株主優待も、初心者が株を買う強い動機になるらしい。
株主優待とは、株主に配られるいろんなタイプの優待券だが、「株を持っているだけでタダでもらえる」というのが強い魅力らしい。
飲食チェーンだったら、お食事券、レコード会社などではイベント参加券、衣服アパレル関連では、ハンカチなど、業種によって様々な優待品がある。
利益が出てないので配当は出せないけど、自社製品ならプレゼントできます、という感じで優待品を用意する企業もある。
ただしこれも配当狙いで買うのと同様、損をするリスクが高い株の買い方だ。
というのも株主優待を受けるには(3月決算の企業の場合)、3月と9月の下旬の権利付最終日に、株を持ち越すことが条件だ。
権利付最終日に株を持ち越すと、配当と株主優待を受け取る権利を得るが、その翌日は「権利落ち日」といって、株価が数%も下がることが多い。
株価が下落しても、配当と株主優待が、かなり得であれば問題はないけれど、配当は高くても2%くらいしか利回りはないし、株主優待も定価3,000円前後の事が多い。
なので「今月末が優待を受けるチャンス」と思って、株を買うと、たいてい損になってしまう。
株主優待は、安定株主、すなわち株を長期間持ち続ける人のためのモノであって、昨日今日、株主になった人にとっては、大きなメリットなんか無いものなのだ。
だから、お金を儲けようと思って株を買うなら、優待狙いの買いが入る前に株を買って、権利付最終日の高値で売った方が儲かる。
翌日には株が下がるのが分かっているのに、売らずに持ち続けてしまうと損してしまうからね。
株主優待品がありふれたものなら、かなりの確率で損すること請け合いだ。
超危険、優待取りのクロス取引
株を優待目当てで買う人は、株で儲けることはできない。
株主でなければ手に入らないグッズや希少価値のあるサービスが優待なら、それを目当てで買っても良いが。
そういう人は、権利落ち日の損益と、受け取る優待品の価値を比べてみて、どちらが満足できるかで決めるしかない。
もちろん企業によっては、希少価値のある優待品を出すところもある。
株主専用に作られた優待品が、ヤフーオークションで高く売れるならば、権利落ち日に下落した損も埋めれるだろう。
ただしこういう裏技が使えるのは、本当に人気があるグッズを優待で出してくれる企業だけだ。
一方優待ただ取りの裏技も今となってはあまり利益はない。
優待だけもらう裏技というのは、株価の下落で損をするのを避けて、優待品だけもらうというやり方だ。
これは売りと買いを同じ株数だけ行う取引で、「両建て」「クロス取引」と呼ばれる方法だ。
やり方は簡単で、優待狙いの銘柄を現物で買う一方で、同じ株数をカラ売りする。
そうすると、翌営業日の権利落ち日に株価が下がっても、損益は差し引きゼロになってしまうので、手数料はかかるが、大損はしない。
権利付最終日にカラ売りを持ち越すと、「配当落ち調整金」を支払わなければならないが、これも現物株の配当でプラスマイナスゼロになる。
こうして株価下落のリスクを避けて、株主優待を受けることができるわけだ。
ところがこういう裏技が広まったために、逆に大損するケースも出てくるようになった。
というのも権利落ち最終日が近づくにつれて、現物買いとカラ売りが増えて行くもんだから、貸借倍率が急激に小さくなって、「逆日歩」(ぎゃくひぶ)が発生しやすくなる。
逆日歩というのは、貸株が足りなくなった時に課せられる、株を貸す追加料金のことだが、時としてこれが意外にでかい金額になる。
たとえば100円の株で逆日歩が1円になったら、一株当たり、毎日1%ずつ利益が減っていく。
この株を1,000株カラ売りしていたとしたら、毎日1,000円ずつお金がとんでいくわけだ。
3,000円程度の優待品を受け取るために、逆日歩で何千円も払ったら儲かりはしない。
さらに逆日歩が10倍適用になったり、休業日を挟んだりしたら、たった3,000円の優待を取るために、何万円も払わねばならなくなる。
ありふれた優待品目当てに、そんな大きなリスクを冒していたら、儲かるはずは無いよね。